心臓あれこれ Q&A
Dr. Heart 笹木院長が、心臓にまつわる素朴な疑問に、鮮やかなメスさばき(!?)でお答えします。
日常気になるあんな事こんな事、一気に解決いたしましょう!
* 心臓や血圧に関わるご質問はクリニック宛にメールをお送りください。
  直接個別に返信することはありませんが、 公開に適したご質問は
  このコーナーで順次取りあげていく予定です。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)について教えてください。
病院で処方される薬の中で、同じ成分、同じ効き目であるにもかかわらず、高い薬と安い薬があります。 高いものは日本で最初に発売された新薬で「先発品」と呼ばれており、安い方は、新薬の特許が切れた後に厚生労働省の承認を得て発売されるもので「後発品」または、「ジェネリック医薬品」とも呼ばれています。
新薬は特許を出願してから20〜25年の間は、開発メーカーが独占的に製造販売することができますが、特許が切れれば、その有効成分や製法等は共有の財産になり、別の医薬品メーカーから同じ成分、同じ効き目のものをより安く国民に提供できるようになります。 後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、新薬の特許期間が満了し、有効性と安全性が確かめられたのちに売り出される廉価な医薬品です。
国で定める後発品の公定価格は、先発品の4割から8割と定められていますから、患者さんの自己負担額も軽減されることになります。 医療先進国の欧米では、医療費抑制策のひとつとしてジェネリック医薬品の使用を促進させるような政策が積極的に取り入れられています。 また、WHO(世界保健機構)もその使用促進を提唱しています。 現在、日本の総医療費約30兆円のうち 薬剤費は約6兆円です。 日本でも欧米並みにジェネリック医薬品の使用促進が図られれば、年間1兆円近くも薬剤費は節減されると言われています。

患者さんにとって絶対に必要な高価な新薬を積極的に取り入れるためにも、後発品の活用は医療費節減のために重要なことであり、当院では積極的に後発品使用を取り入れています。 価格が安いからといって、効き目・安全性に全く問題ないことを付け加えておきます。
[2003年6月10日]
心筋梗塞や脳梗塞の予防に “水分をよく取るよう” に言われますが、正しいですか?
心筋梗塞や脳梗塞は、心臓や脳の実質に酸素や栄養を運んでいる動脈が閉塞することによって心筋や脳実質が壊死(えし:細胞が死ぬこと)に至るものです。 この閉塞は狭くなった血管に血栓が形成されたときにおこるものですから、この血栓を作りにくくするために血液を希釈させようとする目的で水分摂取を勧めることもあります。
しかし水分の過剰摂取の是非は主治医によく確かめたほうがいいと思います。 心臓の収縮力が衰えている場合は水分摂取は心筋に余分な負担をかけます。 また心臓弁膜症の多くが、利尿剤によって水分の負担を減らす治療(減負荷治療)を行っています。 “血液をさらさらにさせる”ということは水で血液を薄めるということではなく、抗凝固剤や血栓溶解剤などで血液の“血栓形成能力を抑制する”薬物治療のひとつです。
腎臓や尿管・膀胱などに結石をもっている患者さんは水分を大量に摂取して尿量をふやして、結石を洗い流そうとすることもありますが、心臓疾患を持つ人はこの過剰摂取が心臓に負担になっていないことを医師によく相談する必要があります。
[2003年5月05日]
 
心臓病の薬であるニトログリセリンも爆発する?
治療薬としてのニトログリセリンは爆発の恐れのない微量でその効果があることがわかっており、爆発の恐れは全くありません。
ニトログリセリンは、ダイナマイトを発明したノーベルの工場で起きた作業員の頭痛をきっかけに、皮膚や粘膜から吸収されたニトログリセリンが実は胸痛発作にも効果があることがわかり、狭心症の予防薬・心筋梗塞の治療薬として開発されました。 ノーベル自身が晩年に狭心症を患い、発作を抑えるためにニトログリセリンの錠剤を常用していたというエピソードも残っています。
ニトログリセリンは、狭心症や心筋梗塞の原因となる冠動脈(心臓の筋肉に酸素と栄養を与える動脈)を拡張させることで、心筋への血流を確保し、胸痛などの狭心症症状を和らげたり、心筋梗塞を予防します。 また、冠状動脈を拡張させるだけでなく全身の動脈も拡張させるので、血圧を下げる作用もあります。 全身の静脈を拡張させて静脈内に留まる血液を増加させ、心臓に還流する血液量を減らすことで、心臓の負担を軽減されることから、心不全の治療にも用いられます。
ニトログリセリンは皮膚や粘膜からも吸収されるため、内服薬や注射薬のほかに、貼付薬や舌下錠もあります。
[2003年4月05日]
 
心臓弁膜症と診断され、薬を常時飲んでいます。 風邪のとき、心臓病の薬と風邪薬を一緒に飲むのはよくないでしょうか?
風邪薬を飲むときに、普段服用している血圧や心臓の薬を止めてしまう患者さんがいます。
心臓病の患者さんの中には、血栓予防として血液をさらさらにする薬を飲んでいる場合がありますが、解熱剤などとの併用でこの作用を増加させてしまう場合があります。
また不整脈の薬と咳止めの併用で膀胱の収縮力が衰えて排尿困難になる場合もあります。
医師は、処方している心臓の薬がそのまま継続できる風邪薬を選択します。 市販の風邪薬を飲むために、自己判断で普段の薬を勝手に調節してしまうことは賢明ではありません。 あくまで、主治医によく相談することをお勧めします。
[2003年3月10日]
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